富岡製糸場の世界遺産登録記念

近代日本の礎を今に伝える─富岡製糸場

富岡製糸場西繭倉庫富岡製糸場西繭倉庫

 近代日本の夜明け─。
 明治政府の掲げた2大国策の一翼を担うべく、明治5(1872)年に誕生した、日本最初の官営模範工場・富岡製糸場。ヨーロッパの技術と日本独自の工法が融合してできた世界最大規模の製糸工場は、近代日本を象徴する建造物として百数十年の経た今も圧倒的な存在感で訪れる人を魅了します。

 2014年6月21日、「富岡製糸場と絹産業遺産群」はユネスコ(国連教育文化科学機関)の第38回世界遺産委員会で世界遺産に登録されることが正式に決定しました。絹産業遺産群が全世界に紹介される事は大変な喜びです。
 これを記念し、当店では、富岡製糸場の繭基盤生産の「世紀21」から繰糸した日本国産生糸を使い、新たに白生地を織り染加工を施しました。この生糸のために新たに起こした地模様で丹後の織機で織りあげました(経糸は従来の絹糸を使い、緯糸に碓氷製糸の糸使用)。
 地紋は現代風にアレンジし、ペーズリー、胡蝶蘭、光琳風の波柄などモダンな柄行のものを作成しました。若い方にも楽しんでいただける柄になっております。

最高品質の蚕品種「世紀21」

展示の様子展示の様子

 使用した「世紀21」は、平成3年3月、農林水産大臣から指定を受けた群馬県のオリジナル蚕品種です。
 一般的な中国産繭と比べると、一つ一つの繭が大ぶりで、そのため1個の繭から取れる繭糸の長さは約1,500メートルと長く、かつ、繊度は細いという特徴を持っています。この繭から生まれる生糸は染色性に優れ、染め上がりが美しく、きもの地としては最高級の素材です。

繭繭を三方に載せて

 絹糸を生み出すカイコは、「蚕(天の虫)」という漢字が示すように、非常に重要な飼育昆虫です。ことに日本では、古事記にも記述があるほどの長い養蚕の歴史を持ち、「おカイコ様」と神聖視し、お社に祀るほど大切な生き物。まさに「天から授かった虫」と言えましょう。

 展示会場では、碓井製糸農業協同組合認定の日本国産生糸購入証明書とともに、神前で供物をお供えするのに使われる「三方(三宝)」に繭を載せ展示しています。


絹の美しさを引き立てる地模様

 「世紀21」の生糸の特長を生かすべく、新たな地紋を起こし、絹糸の光沢と美しさを表現しました。

  • ペーズリーペーズリー
  • 蘭 蘭 
  • 百趣百趣